平成25年11日・上之町会館に於いて、沼田市文化遺産の祭典が開催されました。
文化庁の指定の元、平成25年度文化遺産地域活性化推進事業として沼田市指定重要民俗文化財「沼須人形芝居」「沼田祇園囃子」「平出歌舞伎」を一堂に集め、沼田市の特色ある伝統芸能の講演を行い、文化振興とともに地域活性化を資することを目的とする。
主催する「沼田市伝統文化活性化実行委員会」は、2011年度に市内の伝統文化の保存活動を行う五団体が連携し、次世代に伝統文化を継承しようと、文部科学省の助成を受けて発足。子どもを対象にした伝統芸能教室を開くなどの活動を続けている。
群馬県の沼田に伝承されたお囃子は、他に例を見ない優雅な響きを湛えた独特な曲が多く曲目も、口伝えのため、奇妙とも思えるネーミングのものもあり、先人の知恵が伺えます。沼田の祇園囃子 は、締太鼓の音を高く調律させて、桴(ばち)でたたくときの強弱をハッキリさせる伝統の奏法と、能管に似た長尺太笛が中核に位置して、高尚な響きに仕上げ、総じてテンポがゆっくりで、気品を 醸した荘重典雅な趣は、祭礼を抜きにしても、独立した音楽として鑑賞に充分耐え得るお囃子と評 しても過言ではありません。
江戸時代中期、約250年程前から伝わる地芝居又は農村歌舞伎の流れを受けている。地芝居は、単なる娯楽としてではなく、旧平出村の生活と密着した民俗の中に取り込まれ、信仰・祭礼と結びついて行われることが多かった。平出の歌舞伎も地域の祭礼と深く結びつき行われていた。戦争により一時は衰退し活動が行われなくなったが、昭和24年熱心な地域の古老達によって復活された。その後、平出地区で農業を営む人々を中心に保存会が結成され、地域の伝統芸能として引き継がれてきた。農村歌舞伎の代表的な「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」「絵本太閤記」等を白沢地区やその他の地域で公演することによって、農村歌舞伎の伝統を継承している。
沼須人形芝居は幕末の安政年間に始まり、長く中断したこともあったが、昭和50年に保存会が結成され復活した。太夫の語りと三味線と合わせ演じられる。人形は一人遣いで、遣い手は人形衣装の背中から右手あるいは左手を差し込む背中差込式の立遣いで、のどから下方に突き出たゴボウ串を人差指と中指ではさんで操作するハサミ式の指人形である。人形を付けない手で人形の着物の裾をさばくところから「ふくさ人形」とも呼ばれ、俊敏な動きが可能なのが特徴である。人形の身体部分に胴輪という特殊な小道具を使うのも珍しい。「あけぼの座」の座員により、毎年4月3日の沼須砥石神社の祭りなどで演じられる。