毎年8月3日から5日に行われる須賀神社、榛名神社のお祭りを、占くからこの土地の人達は「ぎおん」又は「おぎょん」と呼んでいる。正しくは「祇園祭」のことで、崇敬と親愛の情をこめ[お祇園祭」から「おぎょん」となまった。「蚕すんだら沼田のまつり、つれて行くから辛抱おしよ」近在農家の夏仕事も一段落、沼田のまつりは町の人々ばかりでなく、広く利根一円の生活暦の一つとして、辛く厳しい農作業も、この祭りあるゆえ慰められていたと云う。沼田祇園祭りは、天正18年(1590)市(商売)の神様として下之四つ角、現在の天王石の所に牛頭天王宮(現在の須賀神社)が祀られて以来その歴史は四百年にものぼる。歴代城主は天王宮に対する敬神の念篤く、祭当日は奉行先頭に市中警護や飾り物の設置、時には城主自ら御輿の送迎を行ったと言う。沼田町全町あげて須賀神社、榛名神社の祭礼として盛大に行われて来たた。そして明治、大正、そして激動の昭和と時は流れ幾多の困難を乗り越え祇園祭りは伝承されてきた。昭和30年代なかば、戦後の貧窮の時代が終わり、経済成長の時代にと変遷して行き、経済中心の世情は郷土の文化や伝統には冷たい仕打ちをあたえた。このような時代の背景の中にあって昭和33年、神社の御輿は暴徒と化し荒れ狂い、祇園祭を奈落の底に突き落としてしまった。やはり主役を失った祭りは生彩を欠き段々と曳き出される山車の数も減り、本町三ヶ町の誇りと意地で祭りは続けられてはいたが規模は縮小され又弾圧され、皆の栄華を呼び戻すことかく、いつかは消滅してしまうであろうと思われていた。しかし、氏神様を崇敬する心は絶えることなく、昭和40年には、市内スポーツ団体有志によって約10年ぶりに須賀神社神輿の渡御が行われ、翌年には榛名神社神輿の渡御が行われ、氏子や町の人々は手を合わせ目に涙して氏神様を迎えたのである。時あたかも、ふるさとブームが巻き起こり地方の時代にと移って行き、昭和46年、祇園祭は「沼田まつり」とその名を変え、市民のまつりとして生まれ変わる事になるが、やはりその基は先祖より受け継がれてきた血のうごめきの祭りであった。
年 号(西 暦) | 記 録 | 附 記 |
天正18年(1590) | 天王宮が祭られる | 下之町四つ角付近に市の神様として |
慶長17年(1612) | 天王宮を現在地(中町)に移築 | 真田信之が城の改築にあたり |
明治5年(1872) | 須賀・榛名の氏子分け実施 | これ以前は全町が須賀神社の氏子であった。 |
明治11年(1878) | 須賀神社神輿、新調 | 沼須町より寄贈された |
明治14年(1881) | 両神社一緒に祭礼を行う | 以前までは別々の日取りにて執行されていた。 |
明治18年(1885) | 上之町祭典録に山車の記載 | 委細に渡る、これ以前にも山車はあったとされている。 |
明治41年(1908) | 沼田町に電線が引かれる | 山車の高さが制限される |
大正8年(1919) | 山車が10本出された | 好景気がうかがいしれる |
大正9年(1920) | 山車が7本だされた | |
大正15年(1926) | 須賀神社白木神輿新調 | 前年荒れ狂い神輿が破壊された為 |
昭和12年(1937) | 付け祭り自粛 | 支那事変始まる |
昭和15年(1940) | 紀元26百年奉祝、山車を出す | 11月10日〜12日政府祝典により |
昭和20年後半 | 祭りが復活、賑わいをます | 戦後、昔の栄華を取り戻す |
昭和30年(1955) | お囃子コンクール実施される | この年の前後数年間行われた |
昭和33年(1958) | 神輿、暴徒と化し大破する | 両神社神輿、民家等に突っ込む |
30年後半40年半ば | 衰退し、神輿渡御なし | 本町3ヶ町のみで祭りを実施 |
昭和37年(1962) | 中町山車を代える | 清水町より山車を受け継ぐ |
昭和40年(1965) | 須賀神社神輿渡御が行われる | 市内スポーツ団体有志によって復活 |
昭和46年(1971) | 両神社神輿渡御復活 | 「沼田まつり」となる |
昭和47年(1972) | 上之町山車を改装 | |
昭和48年(1973) | 下之町山車新造 | 渋川にて |
昭和49年(1974) | 材木町山車新造 | 従来あった山車と彫刻を合わせた |
昭和51年(1976) | 西原新町山車を出す | この年より数年に渡り、装備充実 |
昭和52年(1977) | 上之町山車新造 | 高崎にて |
〃 | 西倉内町山車新造 | この年より続く |
昭和53年(1978) | 東倉内町山車新造 | |
昭和54年(1979) | 沼田祇園囃子保存会連合会結成 | |
昭和55年(1980) | 第1回 沼田祇園囃子競演会開催 | |
昭和56年(1981) | 坊新田町山車新造 | |
昭和58年(1983) | 国民体育大会剣道選手団を山車をかざって歓迎する | |
昭和59年(1984) | 大銀座祭・音と光のパレード に山車を出す(60年同様) | |
平成2年(1990) | 高橋場町山車新造 | |
平成2年(1990) | 御大典に際し山車を出す。 | 須賀神社4ヶ町 |
平成3年(1991) | 第12回 沼田祇園囃子競演を県芸術文化振興基金助成事業として実施 | |
平成4年(1992) | 第1回 お囃子道具補修事業実施 | 加盟団体対象 |
平成5年(1993) | 第2回 お囃子道具補修事業実施 | 加盟団体対象 |
平成6年(1994) | 群馬県人口2百万人達成記念 | 郷土芸能大会出演 前橋文化会館に於いて |
〃 | 中町山車新造 | 富山県井波にて |
〃 | 鍛冶町山車を出す | 中町より譲り受ける |
〃 | 第15回 沼田祇園囃子競演会を日本芸術文化振興基金助成事業として実施 | |
〃 | 沼田祇園囃子保存会連合会が群馬県文化奨励賞を受賞 | |
平成7年(1995) | 群馬祭囃子競演会を沼田市で開催 | 県内より6団体が参加 |
〃 | 国際姉妹都市締結調印式、ドイツ・フュッセン市で祇園囃子を披露 | |
〃 | 沼田祇園囃子保存会連合会が沼田市重要無形民俗文化財に指定さる | |
平成8年(1996) | ドイツ・フュッセン市とイタリア・ベニス市にて沼田祇園囃子公演実施 | |
平成10年(1988) | 第49回全国植樹祭郷土芸能に出演 | 天覧を賜る。21世紀の森にて |
平成11年(1989) | 第20回 沼田祇園囃子競演会、記念大会開催 | |
平成12年(2000) | 第16回国民文化祭プレ事業 | 日本祭囃子フェスティバルプレ事業開催 |
平成13年(2001) | 第16回 国民文化祭 | 11月3日・4日、本町通りにて日本祭囃子フェスティバル開催 |
平成14年(2002) | 6月2日 京都八坂神社「遷座祭」沼田祇園囃子奉納演奏を行う | |
〃 | 愛知県半田市「はんだ山車まつり」交流ステージにてお囃子演奏 | |
平成15年(2003) | 東倉内町人形新調(小松姫) | コミュニティ助成事業 |
〃 | 上之町人形衣装新調(小鍛冶) | コミュニティ助成事業 |
平成16年(2004) | 第17回 全国健康福祉祭群馬大会『ねんりんピックぐんま』 沼田市での閉会式に出演 | |
〃 | 伝統文化活性化国民協会指定、「伝承こども教室」開催 | |
平成17年(2005) | 3月6日 さんてこ囃子フェスティバル出演 | 埼玉県熊谷市立文化センター |
〃 | 沼田市合併記念イベントとして上之町318広場特設会場にて伝承芸能祭が行われれる。 | |
平成18年(2006) | 沼田市文化協会主催、フュッセンにおいて国際文化交流参加 | |
平成19年(2007) | グランドスクール・フュッセン・シュバンガウにおいてお囃子教室開催 | |
平成20年(2008) | 5月17日・18日 姉妹都市下田・「黒船祭り」に山車でパレードに参加、祇園囃子を披露する | |
〃 | 第25回 全国都市緑化ぐんまフェアー参加 | |
〃 | 企業メセナ群馬より芸術文化奨励賞を受賞 | |
平成21年(2009) | 6月5日 沼田祇園囃子保存会連合会 創立30周年記念祝賀会 | |
〃 | 10月24日・25日 第24回 国民文化祭 しずおか2009に出演する。(富士宮市) | |
平成22年(2010) | 3月21日 沼田市合併5周年事業出演 (利根沼田文化会館) | |
〃 | 8月21日 第12回 全国こども民俗芸能大会に出演する(日本青年館) | |
平成23年(2011) | 8月3日・4日 「響け命の鼓動・つなげよう心の絆」 がんばろう日本!プロジェクト開催 | |
〃 | 8月28日 第2回 国際アートフェス in 沼田に出演する(中町-夢蔵) | |
平成24年(2012) | 第12回 地域伝統芸能まつり NHKホールにおいて、沼田まつりをステージで再現する | |
平成25年(2013) | 下之町人形新調(暫く) | コミュニティ助成事業 |